東京地方裁判所所属 民事調停委員 
株式会社 アーキフォーム 顧問
 高橋 賢祐

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第一章 覆水盆に返らず

 建築専門的に指摘された欠陥部分の修復や回復は当然施工者側が行わなければならないことは歴然とした事実です。しかし、あくまで修復でありよほどのことがないかぎり建て直しにはなりません。何らかの手当がなされたとしても新築の状態で住み始めると思っていた建て主には、中古住宅を手にすることになり、心に残った悔しさを思うと同じ業界で仕事をしている人間としてやるせない気持ちになります。
 裁判を起こした結果、調停案なり判決なりで建て主の主張がとおり修復となった場合の多くは、修復工事費に見合う金銭により精算となります。従って、実際に修復工事を行う業者は、建て主が新たに探して依頼することになるわけです。
 極端な場合、工事費を全額支払い済みでは、工事を請け負った業者が開き直り、時には倒産した場合は、いくら判決が建て主の主張とおりだとしても現実的には修復のための費用は自己負担となってしまいます。実際、このような事例は良くある話です。
 自分以外にも同じ問題を抱えている人は世の中に沢山いるから、どんなに注意しても防ぎようも無かったと自分に言い聞かそうと思われるかもしれませんが、住宅を建てた人の殆どは特別な問題もなく完成しています。裁判になるケースは全体の数から見るとやはり少数なのです。
 これから建てようとされている方は勿論、現在、問題を抱えている方も、問題の早期解決のために、問題が起こるにはそれなりの理由と経緯があることを充分理解していただきたいと思います。決して防ぎようのない天災ではありません。

 

 

 

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