東京地方裁判所所属 民事調停委員 
株式会社 アーキフォーム 顧問
 高橋 賢祐

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第二章 これから建てようと考えている人へ トラブルの原因を教えます。

● 全ての結果には、そうなる原因が含まれています。
実際の調停事案から建築係争になる原因を考えてみますと、下記の2つの原因に分類出来ると思います。
1 完成した建物の瑕疵によるもの
2 追加工事の請求によるもの

それぞれはさらに幾つかの原因にわかれます。
1-1 施工不備、不具合等、第三者が客観的に見て本来の性能が満たされていないもの
1-2 「こんなものとは思わなかった」に代表される感覚的な違いによるもの
2-1 追加を依頼した覚えがない
2-2 追加を依頼したがこんな金額になるとは思っていなかった
2-3 本来の請負工事に含まれていると思った。設計段階で当然了解されていると思った

このように整理しますと、たったこれだけのように見えますが、この原因に人という味付けが加わることで、より複雑な状況となります。また、関係する人が多ければ多いほど、問題の本質から離れたところでの争いとなり、本当の当事者の解決策が見えなくなってしまうことがあります。

● 瑕疵という字は大変難しく思います。
三省堂 大辞林には「(1)きず、欠点 (2)法的に何らかの欠陥、欠点があること」と書かれています。(1)は誰が見てもわかりやすく、争点になることはありませんが、(2)はあまりにも漠然としているためどんな事でも瑕疵であると主張することも出来ます。
例えば、『夏の暑さでも涼しくなるように空調機を設計して欲しい』といったのにも関わらず涼しく感じないから、この設計又は工事は瑕疵であるとします。これはどこに問題があるのでしょうか。以下のように幾つかの原因が考えられます。

1. 夏のいつを指しているのでしょうか。
空調設計の条件は最高外気温を33度・湿度を65%と定められています。当然、夏の最高気温がこれらの条件を超えることもあります。
 
2. 住まわれる人が涼しく感じる室温は何度なのでしょうか。
住まわれる人の感じ方の確認をしておく必要があります。
この例のように、住み手の個人個人が望んでいる状態を、作り手側が共有するために、様々な要望にたいして、お互いに確認を繰り返し行うことで(2)の瑕疵の発生原因を取り除くことが出来ると思います。

この例のように、住み手の個人個人が望んでいる状態を、作り手側が共有するために、様々な要望にたいして、お互いに確認を繰り返し行うことで(2)の瑕疵の発生原因を取り除くことが出来ると思います。 調停になれば専門委員が正しく判断してくれますが、そのような事態にならないために、まずは住み手が、ご自身の思いが相手に理解されるまで伝えることが重要な点と考えられます。又、作り手も、住み手の要望を理解したことの証として、具体的に要望への対策を示すことが重要な点と考えられます。

● 自分の伝えたいことをはっきり伝えましょう
頼み手
『安くお願いしたから、言いづらい』
『知り合いにこんな細かなことまでいっていいものか』
『あまりいろいろ言うと嫌われるのではないか』
頼まれ手
『全て任せてくださいといったのに、いろいろ聞くとやらなくてはならない工事が増えてしまう』
『今更、確認しても工事が遅れる』
こんな言葉をいくらでもあげることができます。頼む人も頼まれる人も変な遠慮から内心疑問に思っていることを先送りにすることがありませんか。
しかし完成した家を見てからでは後悔してしまいます。
頼まれる人も訴えられて、あのとき確認しておけば良かった…、と思うはずです。

● 瑕疵問題を起こしやすい性格は
1 思いこみの激しい人
2 短気な人
3 気の弱い人
4 神経質な人
5 プライドの高い人
上記性格に自分が当てはまると思ったら頼み手も頼まれ手も十分気をつけましょう。

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