東京地方裁判所所属 民事調停委員 
株式会社 アーキフォーム 顧問
 高橋 賢祐

目次一覧へ   前のページへ 次のページへ

     
 

第三章 いろいろありますが、やはり家を建てたい・リフォームしたい

 最初の方で述べましたように、裁判に持ち込まれる比較的、解決が難しい係争の原因の大半が意志の疎通に関係していることが多いと思われます。そして、調停作業の多くの時間を相互の間違った思いこみを元の伝えたかった姿にすることに費やされます。
 そのことを理解された上で、新築やリフォームを行うにはどのように進めていくのが良いのかをこれからお話ししたいと思います。
 一般読者を対象に、様々な住宅雑誌が出版されています。それらの雑誌の掲載記事には失敗しないためのアドバイスがかかれていますので既におおよその知識はあると思います。重複する内容もあるかと思いますが私なりにわかりやすく説明していきたいと思います。
入り口】
新築の場合、最初の行動は、大きく分けて以下の3パターンとなります。
1 知り合いの工務店や建築家に相談する。
2 住宅メーカーの展示場に行く。
3 雑誌やホームぺージの検索等で、建築家や工務店を探す。

リフォームの場合最初の行動は、大きく分けて以下の3パターンとなります。
1 知り合いの工務店や建築家に相談する。
2 広告やセールスの勧誘を受ける。
3 雑誌やホームぺージの検索等で、インテリアデザイナーや工務店を探す。

どの方法もこの段階では間違いではありません。それでは、問題にならないためには何をしなければならないのでしょうか。

● 入り口、それぞれに潜在的な問題があることを知っておく必要があります。
新築の場合
1のケースは、『知り合い』 がキーワードです。
◆ 知り合いは頼みやすいが断りにくい。
◆ 性格や人間味は判っているが、住宅のセンスや技術の程度を実は、よく知らない。
◆ ビジネスライクではなく、それ以上のことをしてくれている、と言われたのでこれ以上細かな注文はしにくい。
◆ 知り合いだから建築費を安くしておいたので、見積書は大雑把なものしか出てこない。
◆ 同じく設計図の枚数が少ない。または、打ち合わせの回数が少ない。

縦主側に何らかの不満足な点がおこった場合、潜んでいた問題点が全て表に出ることになり修正がきかなくなるばかりか人間関係までもが壊れてしまいます。

2のケースは、『展示場』がキーワードです。
◆ モデルハウスは気に入ったが、自分の予算内の建物とあまりにも違う。
◆ 希望を伝えたがメーカー毎に様々な制約が有り、その通りにはならない。
◆ 自分が想像していた家の作り方と違い、なんだが薄っぺらくに見えてしまう。

住宅メーカーを選択された場合は、現物を見て注文することから比較的問題が生じにくく又、大手のメーカーの場合は対外的な評判を気にするため、万が一問題が生じても対応はしっかりしています。

3のケースは、『知らない』 がキーワードです。
◆ 作品は写真で見たが、人間性(会社の性格)はまったく判らない。
◆ 頼みたいが、設計料が高いのではないか。
◆ 有名な方に小さな、ましては予算が少ない家の設計を頼めるのか不安である
◆ 建築家とどのように接して良いのか判らない。

建築家の作品は、有名になればなるほど特殊な例が取り上げられています。
完成後に実際に住んでいる方の感想を聞く機会が無いため、建築家のデザインに対するこだわりが、思いもかけない問題となることも考えられます。

リフォームの場合
1のケースは新築と同様と考えられます
2のケースは、『安く出来ます』 がキーワードです。
調停に持ち込まれることが多いのがこのケースです。
◆ 最近設立した会社らしく、建築工事を請け負える正式な資格があるか判らない。
◆ 工事中の現場の管理が誰だか判らない。
◆ 詳細な図面と見積書が作成されない。
◆ 約束した期日になっても終わりそうもないし、その説明も無い。
◆ 工事費は、最初にほとんど支払ってしまった。

昨日まで不動産屋をしていた人や脱サラした人がリフォーム会社を設立する場合も多く、請負金額が小さいため、建設業登録をしてない場合が多く見られます。請負金額が少ないことにより監督を専任することが出来ないばかりか、使用する職人の技術的レベルも低いと思われます。これらのことが出来上がりの程度や期日の厳守に影響を与えることになります。
3のケースも新築の場合と似ていますが、ここではインテリアデザイナーの資格と技能に問題が潜んでいるかもしれません。インテリアデザイナーの資格は国家資格ではなく業界の任意な資格であります。デザイン能力というよりはむしろ、物販の知識に重点を置いた資格といえます。だからといってリフォームを前面に打ち出したホームページを作成している以上、デザイン能力に問題があるとは思いませんが建築家の総合的な知識には及ばないこともあります。

以上、最初の一歩を踏み出す足下に潜んでいる問題点の理解に役に立てば、それらを回避するために、何をすべきかがわかりやすくなったのではと思います。

ページトップへ

 

 

Copyright (C) 2004Archi form design&Engineering.All Right Reserved.