東京地方裁判所所属 民事調停委員 
株式会社 アーキフォーム 顧問
 高橋 賢祐

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第五章 着工してから完成までに何が起こるのでしょうか

調停での話し合いの時に頼まれ手の建設側からは『役所の検査を受けていますので問題はありません』一方、頼み手の施主からは『役所の検査を受けていますか』又は、『役所の検査を受けているのに何故、役所は見落としたのか』を聴くことが多くあります。一体何が起こったのか、役所の検査とはどんなものなのか、実際は当事者双方ともよく分かっていない場合があります。 着工してから完成までにどんな問題が潜んでいるのか考えてみましょう。
第五章―1 工事
 建築はどんな種類の建物でも基礎工事から始まります。その後、骨組みを作り、外回りを仕上げ、内部を仕上げていく順番になります。その間に建築設備といわれる給水、排水、電気、ガスの敷設工事が行われて行きます。それぞれの工事にいろいろの問題を引き起こす要因が潜んでいるわけです。
 壁や天井に貼られているビニールクロスの張り替えや塗装の塗り替え等、表面から施工し直すことが出来る箇所のトラブルは、費用的にも工事の大変さからも修理が可能なトラブルの性格から調停でも早く解決しますが、ここで取り上げる具体的なトラブルは、場合によっては立て替えに近い状態まで発展する可能性があるものです。従って、調停での和解の成立が困難となり、和解に至るとしても相当の時間を費やすことになります。
 ここでは個人住宅における様々なトラブルを取り上げてお話をしていますことから、木造住宅の建設を巡って、実際に調停で取り上げられたトラブルに基づいてお話ししたいと思います。

● 基礎工事編
*建物が傾いている・床が斜めになっている
 
原因1
建物を支える地面(地盤)に必要な固さ(地耐力)の事前調査をしていない
 
原因2
建物を支える地面(地盤)に必要な固さ(地耐力)のところまで地面を掘っていない
 
原因3

地面(地盤)に必要な固さ(地耐力)に合った基礎の形状になっていない
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*地面から上に見えている基礎にヒビが入っている
 
原因1
基礎が上記の原因により沈んだ
 
原因2
基礎に必要な鉄筋が入っていない
*一階の床が波を打っている
 
原因1
一階の床を組上げている大引き材に必要な束の足下(地面)がしっかり突き固められていない
 
原因2
束用の基礎が使用されていない
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● 木工事編(土台・柱・梁の組上げ)

*建物が傾いている・床が斜めになっている
 
原因1
雑な大工の仕事・・・水平・垂直に材料を組み立てていない
木材と木材を固定するための補助金物の締め付けが不完全
 
原因2
設計図の通りに材料を使用していない
 

原因3

木材の必要な大きさの計算がなされていなく、大きさが不足している

 
原因4
木材と木材を固定するための補助金物を指示通りに使用していない
*筋交いが必要なところに施工されていない・止め方が間違っている
 
原因1
雑な大工の仕事・・・筋交いの正しい止め方を知らない 
正しい筋交いの止め方→もっと詳しく
 
原因2
設計図の通りに設置されていない
 
原因3

筋交いの必要な大きさの計算がなされていなく、大きさが不足している

 
原因4
筋交いの種類を現場で勝手に変更したため、法的に必要な強さが不足している
*その他1 外壁の防水紙(雨水や湿気の進入を防ぐ役目をはたすもの)がきちんと施行されていない
 
原因1
雑な大工の仕事・・・サッシとの取り合い部分の仕舞いや防水紙同士の重ね方がいい加減
 
原因2
設計図の通りに設置されていない
 
原因3

筋交いの必要な大きさの計算がなされていなく、大きさが不足している

 
原因4
筋交いの種類を現場で勝手に変更したため、法的に必要な強さが不足している
*その他2 仕上げに使用している木材に割れや損傷がある
 
原因1
雑な大工の仕事・・・正しい施工の仕方をしていない
 
原因2
必要な厚さのものを使用していない
*その他3 仕上げに使用している木材に割れや損傷がある
 
原因1
雑な大工の仕事・・・割れているのを承知で使用している(完成時には既に割れがあった)
 
原因2
乾燥不足の木材の使用
*その他4 床や屋根を支えている木材を切り欠いてしまう
 
原因1
雑な設備配管工事・・・給水管・配水管・電気配管等とぶつかる骨組に使用されている木材を切り欠いてしまう
 
原因2
雑な設計・・・あらかじめ設計の段階で設備配管のルートを定め木材を切り欠く事のないにする

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